2005年人民元相場管理改革以後、人民元相場は切り上げ当初の相場より元高の傾向が続き、外貨保有残高の拡大の圧力に加え、国内外では、人民元の切り上げ予測の期待がだんだんと強まった中、国際短期流動資本が中国へ相次いで流入してきた。このほか、金利の引き上げやマクロコントロール調整による利鞘取りの機会が増えるにつれ、国際短期流動資本が中国へ流入する要因となり、その結果、中国へ流入する国際短期流動資本の金額は一貫して拡大してきた。このような国内外の情勢の変化を背景に、2008年8月、1996年制定し97年修正した旧「外為管理条例」を改定し、新「外為管理条例」を公布した。クロスボーダー取引に係わる資金流動に対する監督・管理体系の改善、健全な国際収支体系の応急保障制度の完備といった内容が新「外為管理条例」の改定の重要なポイントとなっている。 本研究報告は、改革・開放後中国の外貨管理体制の変遷の概要を回顧した上、近年、投機的な国際資本の中国へ流入する“見えざる”流動実態を明らかにし、最後に新しい時代へ向けて、新「外為管理条例」の実施とその意義をまとめてみた。