今日、世界的規模で進行している生産工程の細分化・工程内分業・地理的分散という国際分業の展開は、世界貿易に新たな局面を生み出した。最終財を製造する国は、他国で製造された中間財を輸入し、これら中間財を用いて製造(組立)した最終財を最終消費国へ輸出する。この意味からすれば、貿易製品の生産に対し、それぞれの付加価値(Value Added)をもつ部品がどの国から提供されているのかの重要性が高まってくる。 本報告は、国際価値連鎖(Global Value Chains)という考え方の下で、「付加価値貿易」(Trade in Value Added)統計という新しい貿易統計について概観するうえ、加工貿易の特質を反映させる非競争型産業連関モデルを用いた加工貿易による輸出国内付加価値率と非加工貿易による輸出国内付加価値率の計算結果に基づき、中国の輸出による国内付加価値の誘発構造とその影響要因について考察してみた。