本稿は新中国が建国以来、2000年までの為替管理体制の変遷について考察を行った。為替管理体制の変遷を巡って、その実態を分析することによって、中国が建国してから今日までの為替管理体制の全体像を見ることと為替管理の必要性を確認することができよう。本稿は建国以来いくつかの転換期を軸にして、為替管理体制の変遷の過程の実態を見る。まず第一の転換期は、第11期3中全会前の為替管理体制である。この転換期はさらに二つの時期に分けられる。一つは国民経済回復期の為替管理(1949~52年)。今一つは全面的指令性計画経済の下における為替管理(1953~78年)である。第二の転換期は改革・開放政策を実施し始めた1979年から93年までの時期である。この時期においては、為替管理機構そのものの変容と為替管理体制の改革の進展を分けて分析していく。第三の転換期は1994年の為替管理体制改革である。94年の改革は中国為替管理史上では一つの大きな飛躍点である。その背景、内容と意義を詳細に分析していく。最後に、94年以後の為替管理体制発展の方向とその実態を紹介した。為替管理はマクロコントロール手段として中国の国民経済建設において大きな役割を果たした。 従来のあり方、そして為替管理体制の改革に対する実験、発展、完備といったいくつかの段階を経ながら、中国の特殊な歴史的条件と中国を取り巻く世界政治・経済情勢の激変の中で行われた複雑かつ重層的なものであった。