中国は20世紀70年代における世界政治経済に対する認識の転換の下で、1978年に、経済建設の基本方針の一大転換を図り、いわゆる改革・開放へ政策転換を行った。以来、中国は対外経済開放と国内経済体制改革という二つの柱の下で、いくつかの発展段階に分けて、それぞれの段階の経済の発展水準、経済の運行状況、国際情勢に基づき、為替レート管理を含めた為替管理体制を制定し、実行してきた。 一国の為替管理は、その国の対外的経済関係とその発展を前提条件とし、また、この対外経済関係とその発展は、その国の世界政治経済に対する認識を前提条件としている。このような基本認識の下で、中国の為替管理に関する研究を行う際、為替管理の実態とその中に直接反映されていた世界政治経済に対する基本認識構造の内的関係を明らかにし、さらに、その中で内蔵される矛盾や問題点を摘出することは、極めて重要であると筆者は考えている。
本稿は、このような認識の下で、まずこれまでの貿易内部決済レート実施期（1981～84年）における為替管理に対する評価を行った上、公定レートと外貨調整センターレート併存期（1985～93年）における中国の為替管理の前提である対外貿易体制の変革の状況を確認し、為替管理の変革の実態についていささか整理を行い、問題点を提起した。
