論文

基本情報

氏名 広田 堅志
氏名(カナ) ヒロタ ケンジ
氏名(英語) Kenji Hirota
所属 広島経済大学 経営学部 経営
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

中国における短期資本流動管理の実態   ―現状・問題・対策―

単著・共著の別

単著

著者

 

担当区分

 

概要

近年中国の貿易黒字額と外資直接投資額の拡大の影響を受け、2008年末までに、中国の外貨保有残高は1兆9千5百億ドルに達した。2005年人民元相場管理改革以後、人民元相場は切り上げ当初の相場より元高の傾向が続いており、外貨保有残高の拡大の圧力に加え、国内外では、人民元の切り上げ予測の期待がだんだんと強まった。このような状況の下では、国際短期流動資本が中国へ相次いで流入してきた。このほか、金利の引き上げやマクロコントロール調整による利鞘取りの機会が増えるにつれ、国際短期流動資本が中国へ流入する要因となり、結果として、中国へ流入する国際短期流動資本の金額は一貫して拡大してきた。
 経済のグローバル化、金融市場の自由化、短期資本の流動の国際化という背景の下では、中国は健全な金融管理体制の完備に向けて、国際金融変動によるリスク対応能力をさらに強化していく必要があり、国際短期流動資本に対していかなる監督・管理を実施するかが極めて重要なことである。
 上述のような国内外の情勢の変化を背景に、2008年8月、1996年制定し97年修正した旧「外為管理条例」を改定し、新「外為管理条例」を公布した。クロスボーダー取引に係わる資金流動に対する監督・管理体系の改善、健全な国際収支体系の応急保障制度の完備といった内容が新「外為管理条例」の改定の重要なポイントとなっている。
本稿は改革・開放後中国の外貨管理体制の変遷の概要を回顧した上、近年、投機的な国際資本の中国へ流入する“見えざる”流動実態を明らかにし、最後に新しい時代へ向けて、新「外為管理条例」の実施とその意義をまとめてみた。

発表雑誌等の名称

広島経済大学経済研究論集

出版者

 

第32巻

第2号

開始ページ

101

終了ページ

124

発行又は発表の年月

2009/09