2008年は、中国の改革・開放政策を実施してから30年を迎える年である。30年間、外資直接投資導入政策は改革・開放政策の重要な一環として位置付けられ、その政策は国内外の政治経済状況に合わせ、いくつかの段階を経ながら、今日まで実施されてきた。
外資直接投資による設備投資と技術移転を通じて技術進歩が促進され、今日、製造業分野において、電子、機械、化学工業、建設、軽工業、紡績・紡織・アパレル等の領域における技術水準と製品の高度化が大きく進展してきている。輸出促進政策と平行に実行してきた外資直接投資政策により、中国の輸出貿易発展は外資系企業貢献による部分が大きい。特にWTO加盟後、外資系企業による輸出入額の中国の輸出入総額に占める割合が半分以上である状況は2008年まで続いた。
反面問題も残されている。WTOの加盟は、経済のグローバリゼーションを全面的に受け入れた結果として受け止められるが、これは中国にとって当然自国の比較優位に基づく国民経済が発展する大きなチャンスをもたらすと同時に、国内市場を全面的に開放することも意味する。今日中国の国民経済は、全体の産業構造自体が外資直接投資構造によって規定される部分が大きくなっている状況下にある。中国の立場からすれば、国民経済戦略構築策として採り入れた外資直接投資導入政策は、国民経済の持続的発展を主体的に推進するという前提条件下での積極策ではあるが、問題は、上述したような国民経済の「外資企業化」の状況から、今後、上向き競争的な国民経済統合の中に如何に外資系企業を統合していくかがという重大な課題が残っている。
本シリーズ稿は新たな外資直接投資導入の時代へ向けて、これまで30年実施してきた外資直接投資導入の政策と成果をいくつかの段階に分けて、その跡を辿ってみることとする。統計資料等の整理を通して、これまでの外資直接投資導入の実態を把握する上で、その深層に残される問題点を探る。本稿(Ⅰ)については、対外開放の実験的準備期(1979~84年)における中国の世界政治経済に対する認識の変化、その変化に伴う外資直接投資導入管理体制、法的枠組の形成、外資直接投資導入の状況をまとめたものである。