アジアの2大経済大国としての日本と中国は、高度な経済的依存関係にある。2014年の日本の貿易総額と輸入額の中国のシェアは第1位となっており、輸出は第2位となっている。同年の中国の貿易総額、輸出、輸入ともに前年に引き続き国単位で第2位の地位を維持している。
一方、今日の国際貿易の大きな特徴は、ある製品の生産活動やサービスの提供が、国境を越えた鎖のように連なっているものとして展開し、サプライチェーンの国際化がますます進展している。貿易実務の観点からみても、「原産国」といった伝統的な概念や、財とサービスの区別などが曖昧になり、貿易統計に対する従来の解釈が大きく揺らぎつつある。
本稿は、OECDが今年10月に公表した最新の付加価値貿易統計のデータベース(TiVA、 Trade in Value Added- October 2015)を用いて、日中間製造業貿易における国内・外付加価値を統計的分析を行い、それぞれの付加価値構成と構造的特徴の分析を通じて、日本と中国の製造業貿易の構造的特徴と問題点を明らかにし、今後への展望を試みたものである。