中国は、改革・開放政策を実施して以来、一貫して外資直接投資導入による国民経済発展戦略を採ってきた。2001年のWTO加盟は、中国にとって、大きなチャンスをもたらしたと同時に、新たな挑戦にも直面している。これまでの外資導入政策の主軸の一つである「市場をもって技術と交換する」という戦略は、WTO加盟によって、外資導入により技術の進歩を図るための交渉のカードとして使えなくなっている。2020年のGDPを2000年の4倍にするとの目標を実現し、社会全体としていくらかゆとりのある社会を実現するための外資導入政策を如何に調整するかが新たな課題である。外資直接投資による外資系企業が中国の国際貿易に半分以上を占める欠かせない存在の中、中心的な問題は、中国国民経済発展の全般において、上向競争的な国民経済統合の中に外資系企業を統合していけるかどうかという深刻な問題が残されている。 WTO加盟前後の中国の外資直接投資の変化をより明確に提示するため、本稿では、まずWTO加盟後の外資直接投資導入の概況とWTO加盟後における外資直接投資導入政策の転換について整理を試みた。