一国の為替管理は、その国の対外的経済関係とその発展を前提条件とし、また、この対外経済関係とその発展は、その国の世界政治経済に対する認識を前提条件としている。このような基本認識の下で、中国の為替管理に関する研究を行う際、為替管理の実態とその中に直接反映されていた世界政治経済に対する基本認識構造の内的関係を明らかにし、さらに、その中で内蔵される矛盾や問題点を摘出することは、極めて重要である。 本稿は上述の問題意識の下で、改革・開放という一大転換を図られたその前提条件である世界政治経済に対する認識がどのように変化したかを明らかにした上で、この認識を具体化する国民経済発展戦略はどのように展開し、さらに、この経済発展戦略の枠組みに組み込まれた為替管理システムがどのように設定されたかに関して、いささか整理を行い、この中に含まれる内在的問題点を摘出した。