本稿は中国建国直後、いわゆる国民経済回復期(1949~52年)における為替管理について分析するための導入論文である。一国の為替管理体制はその国の対外貿易体制の重要な一環となり、その性格は対外貿易の性格によって規定される。さらに、対外貿易の性格は、それが存在する社会の性格によって規定される。国民経済回復期の為替管理は、当然純粋の経済的管理手段としての為替管理の部分も含むが、当該時期の中国の為替管理は政治突出型国民経済建設理念に基づき、政治的側面と連結していた新しい社会制度を作り上げるための土台作りにおける革命的性格を持っていることを認識すべきであろう。 本稿は国民経済回復期における為替管理と関連し、必要最小限に、社会主義国家として形成する前の中国の社会的性質について説明する。次はその当時の為替管理、ここでは国民党支配区と共産党支配区を分けて、その概要を見てみる。最後に国民経済回復期における社会の革命的性格と為替管理の関係について考察した。