本研究(Ⅰ)では、中学校における進路指導の視点から、次の3点を考察した。①「少子化のインパクト」と高等学校の設置状況を全国平均と広島県を比較分析してその実態を明らかにした。②私立高等学校と公立高等学校の違いを整理して「公私比率」の問題を分析した。全国平均の70対30という比率は、結果的な比率でしかなく、生徒減時代における学校の熾烈なサバイバル競争との関連は薄いものであることを指摘した。また③「特色ある学校づくり」の問題を取り上げ、新しいタイプの高等学校として登場してきた総合学科高校・全日制普通科単位制高校・多部制定時制高校・中高一貫教育校の4つについて、その制度上のメリットとデメリットを明らかにした。生徒の多様なニーズに対応する目的で設置するということであったが、実質的には高等学校の序列化を促進したということを指摘した。