本研究は、日本の相続税法における財産評価について、納税者の視点から検討したものである。特に、土地の評価について客観的な基準としてどのようなものがあるのかを検討した後で、財産評価基本通達で示されている路線価方式と倍率方式について考察し、この二つは一般の国民にとって理解し難いことを指摘した。別の方法として、土地の時価評価については、固定資産税評価額を使用することが望ましいのではないかという提案をした。その理由は、固定資産(土地)の時価については、納税者が毎年受け取る固定資産税の納付通知書が最も馴染みやすく、相続税の納税申告もより簡素なものとなるからである。同時に固定資産税評価額は、公示価額の8割の水準となっていることから、時価との乖離も少なく課税の公平性も担保できると考えられるからである。