本研究は、現行の民法(相続法)における遺留分制度について法の正義(分配的正義)の視点から、遺留分制度は今後も存続させるべきという立場で考察を加えるものである。具体的には、第一に遺留分制度の存在理由を歴史的に考察し、日本の遺留分制度はゲルマン型の価値返還と捉える方が理解しやすいことを論述した。第二に配偶者と子どもが相続人になる場合に、配偶者の遺留分が貢献分(二分の一)ではなく、四分の一になっている問題を指摘した。第三に直系尊属だけが相続人になる場合には、遺留分が三分の一となっている不合理を指摘した。第四に特別受益の持ち戻しで「算入説」を支持することを論述する。第五に寄与分の認定は、相続争いの場面では棚上げする必要があることを論述した。