本研究は、遺産分割当事者確定に焦点を当てて次の5点について検討を加えたものである。第一に遺産分割当事者は、法定相続人だけではないことを明らかにした。第二に遺言によって相続財産を与える「遺贈」については、包括遺贈と特定遺贈の長所と短所について整理した。第三に遺産分割協議が不調に終わった場合、その後「家庭裁判所での調停、審判があり、高等裁判所の審理で最終的に決定される流れを明らかにした。第四に相続人の選択権の保証について、3か月の熟慮期間が設定されているが、これは実際の相続を考えると12カ月程度に延長すべきではないかという私見を論述した。第五に相続人の存否が不明の場合はどうなるのかを考察した。特別縁故者に相続させることとなっているが、伯父や伯母、従兄弟などの親族に相続させることが望ましいという見解を論述した。