2018年の民法(相続編)の改正内容について、相続実務の観点から考察し、相続法の改正が相続税法との関連において、そのような影響があるのかを検討したものである。第一に戦後の「配偶者保護」に向けた法改正の動向を整理する。第二に相続法の改正は、そのような経緯で行われたのか、その流れを概観する。その上で、配偶者の長期居住権の創設や預貯金の仮払い制度の創設、自筆証書遺言尾方式緩和などの改正項目を個別に検討した。相続法の理念として、被相続人の最終意思の尊重と共同相続人間の公平という二つがあるが、これに加えて「配偶者の保護:という三つ目の理念が登場したものと考えている。その他の改正項目は、これまで懸案になってた項目をリストアップして相続法の哲学や思想とは無関係に改正したものと言えなくもない。