日本の相続法における特別受益制度と相続税法に関する研究

本研究は、我が国の民法（相続法）における「特別受益制度」の諸問題と相続税法の県警を明らかにすることを目的として、次の五点について考察したものである。第一に「具体的相続分」という概念を考察した。第二に、「特別受益」・「寄与分」・「遺留分の三者の関係がトリレンマ（＝三竦み）の状態にねっていることを示した。第三に特別受益の発生事由を具体的な事例を基に考察した。第四に、特別受益と相続税・贈与税の関係について論及し、遺贈には相続税が課税され、生前贈与には贈与税が課税されている理由を検討した。第五に、特別受益と遺留分の関係を検討し、遺留分は特別受益よりも優先されていることを明らかにした。

広島経済大学研究論集

第42巻

第1号