本研究は、日本の民法(相続法)における寄与分制度の諸問題について考察したものである。主要なテーマは、寄与分の法律構成をどのように解釈するのかということである。具体的には、第一に寄与分の認められる5つの要件を考察した。第二に寄与分と遺留分の関係について、寄与分が遺留分を侵害しても認められるのかを検討し、例外的に認められることがあることを明らかにした。第三に寄与分の法律構成について5つの学説を整理し、報酬説を支持することを論述した。第四に特別寄与料請求権について、実際の運用面での問題点を指摘した。第五に寄与分に対する相続税課税の適否を検討し、適切とは言えないのではないかという私見を述べた。