本研究は、我が国の民法(相続法)における「相続分の譲渡」に関する諸問題について、次の三つの論点を中心に検討を加えるものである。第一に遺産共有の概念として、共有説と合有説があることから、その違いを考察する。合有説は遺産分割前の持分権の処分を制限するものであり。これを支持するコtを述べる。第二に相続分の一部譲渡の可否について検討する。円滑な遺産分割を実現するためには、一部譲渡を認めるべきでないという被定説を支持する。第三に、平成30年10月19日の最高裁判所の判決について考察する。この判決は相続分の譲渡が特別受益に該当する贈与rとなるという判決である。筆者は法的安定性の確保の観点から二つの問題を提起している。