本研究は、我が国の相続法における特別縁故者制度に関する諸問題を研究したものである。この制度の実務的な問題は、①特別縁故者の範囲、②縁故の継続期間、③財産分与の金額、④財産の分与割合という4つが存在する。本研究では、特別縁故者の認定についての8つの判例を考察した。研究の結果、次のことが分かった。第一に被相続人と生計を同じくして者が特別縁故者として認められる可能性が高いことである。第二に、死後縁故は原則として認められんばいことが分かった。第三に法人(社会福祉法人など)が特別縁故者として容認されるケースがあった。特別縁故者と認められたとしても「財産分与の相当性」について裁判所が判断して、縁故の期間や縁故の濃淡によって具体的な割合や金額が決定されていることが分かった。