本研究は、被相続人の遺産を相続する相続人の視座から、遺産分割の法的効力と前提問題について考察し、相続実務におかる遺産分割の実行について検討したものである。具体的には、第一に遺産分割前の遺産の共有状態の法的性質について、共有説と合有説の考え方の違いを明らかにした。遺産共有の本質は、各相続人が事故の持分割合を処分できるとする「共有説」妥当であると結論付けた。第二に、遺産分割の具体的な方法について、四つの方法を検討し、現物分割という原則的な方法が最も望ましい方法であることを明らかにした。遺産分割の公平性を損なうことがあっても、遺産分割協議で合意が得られれば、凸凹を許容して分割することが現実的であると考えられる。特に、遺産の中で土地・建物などの分割困難な資産が多い場合には、あえて分割しないという選択もあると言える。