ミクロ的基礎をもつマクロ経済モデルでは、合理的期待の場合でも、経済変数にバブルが生じることが分かっている。従来この証明は合理的期待学派により逐次代入法などの手法で行われてきたが、本稿では、Doobの分解定理という時系列解析における手法で公理的に解くアルゴリズムを提示する。
経済変数に発生するバブルは決定的バブルと確率的バブルに分解でき、前者は自己実現的期待により内生的に生み出され、後者はマルチンゲール過程により生成される平均収束的分散発散的バブルであることが証明される。
後半では、代表的個人モデルによりバブルを一般均衡モデルに拡張する。最適成長モデルを使い、合理的バブルが発散せずに有限な水準で均衡解が存在することを示す。また、動学経路がある合理性条件により安定収束経路となることを証明する。