新古典派経済学の立場に立ったマクロ財政モデルの分析が主題である。まず第1章では、代表的個人モデルによりマクロ財政政策の動学的効果を論じる。
第2章では、世代重複モデルによるマクロ・モデルの均衡解の特性を調べる。さらに、Barroの王朝モデルにより遺産動機の果たす役割を論じ、それが中立命題を保証していることを示す。これらの分析により、財政政策も金融政策も世代間の欠如したリンクを結ぶ役割を果たすという点ではその効果に差がないことを論じる。
第3章の前半では、2次元世代重複モデルによる財政政策の動学的効果について論じ、政策の動学的効果は黄金律水準における本源的財政収支の状態が大きく関わっていることを明らかにする。また、静学的なパレート最適概念を動学モデルに取り込んだ場合、黄金律基準が動学的パレート最適となっていることを示す。後半ではSummersモデルによる租税政策の動学的効果を論じ、また井堀モデルに基づき、双体定理を使って最適資本課税を論じる。