ベンチャー型中小企業の存立・成長に資する経営理念の機能に関する一考察

ベンチャー型中小企業（医療機器製造業）である株式会社コーポレーションパールスター（以下、パールスター）が、厳しい経営環境に適応しながらゴーイング・コンサーンとして存続していくため、経営理念を基軸とした経営をいかに遂行しているのかを把握・分析し、知見を導出した探索的研究の内容を報告した。
パールスターでは、経営者自身がイノベーションの実行者として、方針策定から現場での創意工夫に至る過程でいかにリーダーシップを発揮しているのか、経営者によるいかなる言行が組織成員の一貫した行動を喚起し、組織一体感を醸成し得る現場のモチベーションの高揚につながっているのか、経営者が主導する経営理念の具現化を図る言行からは、人と組織の活性化に向けたプロセスがいかに把握されるのかを分析し、考察した。その結果、パールスターにおける理念を基軸とした経営の様相からは、経営者をはじめ組織成員一人ひとりが常に当事者意識と問題意識を持ち、内省を通じて自発的に考え行動するという制度的リーダーシップの発揮による浸透促進パターンが把握されたことを報告した。

組織学会「2018年度研究発表大会」（於）東京大学　『報告要旨集』あり