本稿は、経済・社会の危機時における価格メカニズムの需給調整機能が、消費者側の心理的態度および経済知識によってどのように影響されているかを明らかにした。具体的には、新型コロナ感染症拡大期の状況を捉え、①公平性、➁経済モラル、③金融・経済知識の3つの要因が、マスク値上げに対する消費者の受入れ態度に影響するか否かを確認した。その結果、公平性を重視する消費者は、マスクの値上げを許容しない傾向にあること、相対的に市場取引よりも経済モラルを重視する消費者は、マスクの値上げへの抵抗感が強い傾向にあること、金融・経済知識が高い消費者は、マスク値上げを受け入れる態度を促進する傾向が観察された。