京都大学附属図書館清家文庫蔵『史記抄』清原宣賢書写部分における漢字音の音形について
京都大学附属図書館清家文庫蔵桃源瑞仙(1433-1489)聞書『史記抄』の、清原宣賢書写部分の字音点を、中国語音韻学の枠組みで記述した。その結果、音形表記は全体として宣賢の漢籍訓読資料よりも非規範的(「ヰ」を「イ」と書くなど)であった。その一方、反切注にもとづく加点(洫「キヽ」など。通常は「イキ」)も行われていた。『史記』の読みを学習する場合には、反切注に支えられた漢字音を用いることを求められたことが判明した。
『論叢国語教育学』、広島大学大学院教育学研究科国語文化教育学講座
復刊第4号通巻
第9号