清原宣賢書写本に見る漢音形の衰退について
「所」「初」「廢」字において、清原宣賢書写本は漢音形衰退の様相を示す。3字はそれぞれ漢音形「ソ」「ソ」「ヘイ」を有した。しかし、宣賢書写本では、漢音資料にも「シヨ」「シヨ」「ハイ」の呉音形が存する。漢音形は祖本から移点した資料に集中し、宣賢自身は漢音形を習得していないと考えた。ただし、漢音形が見られる資料では、漢音形で発音するように注記される文献がある。これは、テクストの威信を高めるためと考えた。
『国文学攷』、広島大学国語国文学会
第231号