鎌倉期浄土教における一念多念
法然門下における日本浄土教の問題点の一つに「一念」と「多念」の論争がある。浄土への往生に一念で足りるか、多念を要するかという問題で、念仏を易行とする観点から「一念」を中心とする人々と、易行としながらも念仏相続による「多念」を重視する人々との間に論争があった。法然在世中から起こり、また法然の没後に法然門下が分裂していく一つの要因になった論争である。また法然浄土教の流れを汲む一遍にもその影響が及ぶ。鎌倉期浄土教の全体像を捉えつつ問題点を考究する。
早稲田大学