J-REIT(日本型不動産投資信託)における実体的利益調整に関する一考察
棚橋慶太
J-REIT(日本型不動産投資信託)の公開財務データを用いて、導管性要件の制約を受けるJ-REIT が分配金を拠出するための実体的利益調整を確認する実証研究を行った。海外の先行研究を参考に、正常の収益・費用を推定し、売上操作を含む異常営業収益、裁量的費用の削減を含む異常営業費用と、固定資産の売却を示す実体的利益調整の変数を設定し、ロジスティック回帰分析を行った。その結果、予想分配金に当該期の分配金が達しそうにない場合,公表済の予想分配金を達成するために,裁量的費用の削減、あるいは固定資産の売却による増益型の実体的利益調整を行っていたことを確認した。
広島経済大学経済研究論集
広島経済大学経済学会
第46巻
第2号