Pincher Martinと剥がれゆく自我: 精神分析とゴールディング
本稿ではイギリス文学作家ウィリアム・ゴールディングによる三作目の長編小説、『ピンチャー・マーティン』(Pincher Martin, 1956)における主人公クリス(Christopher)の自我について、「鏡像段階」といったジャック・ラカンの理論を援用しながら注目する。さらにラカンの「L図」を使い、正常であったはずのクリスの自我にどのようなことが起こったかを考察する。
安田女子大学 英語英米文学論集
第28号