クリスは天国へ行くのか?―クリスの自我に対するラカン派精神分析的読解―
本稿はウィリアム・ゴールディングの『ピンチャー・マーティン』の舞台が煉獄であるということを証明しながら、その煉獄で主人公クリスに起きた現象についてラカン派精神分析の観点から分析する。そして、クリス自身が行った選択により、本来は天国に行く準備をするための一時的な場所であるはずの煉獄が地獄になっているということを明らかにする。
サイコアナリティカル英文学論叢
第41号