「変化,対比に着目した文学的文章の読み解き方」
三根直美
中学校2年生の定番教材である「夏の葬列」(山川方夫)「走れメロス」(太宰治) を取り上げて,何に着目することにより読み解けるのかを検証した。生徒にとって両者とも初読の時はストーリー展開や大げさな表現に意識がいき,単純な話と受け取られがちである。しかし,登場人物の心情や考えの変化,情景描写の変化,人物形容の変化,登場人物間の対比,心象風景などに着目したところ,人間の変容を表現した話であることが理解できた。文学的文章を深く読み解く際に,変化・対比に着目することは有効であった。
『広島大学附属中・高等学校中等教育研究紀要』
広島大学附属中・高等学校
第64号