ペンシルヴァニア州立大学名誉教授であるロヴァリー・キングの、Race, Theft, and Ethics: Property Matters in African American Literature(Baton Rouge: Louisiana State UP, 2024 ix + 165 pp.)の書評である。 まず、本書の巻頭に付された一枚の写真(二〇〇五年八月にアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナによる洪水後、一人の若い黒人男性が胸まで水に浸かりながら略奪した食料雑貨を運んでいる)が、この若者の行為を単純に違法行為として断罪できるのかと問いかける。つまり、本書の目的は、アメリカ人にとって個人の財産所有権がどのように「人種」、「窃盗」、「倫理」と絡み合っているのかを、奴隷制時代から現代までのアフリカ系アメリカ人の文学から読み解くことである。