「女性のセクシュアリティを否定する家庭内暴力への挑戦-―『カラーパープル』と『父のほほえみに照らされて』を相互補完的性質から読み解く―」
光森 幸子
アリス・ウォーカーの『カラーパープル』(1982)と『父のほほえみに照らされて』(1998)には、女性のセクシュアリティにまつわる黒人家庭内の性的暴力が共通する。本稿では、両テクストの相互補完性に着目し、黒人女性だけでなく黒人男性の自己解放も重要視されていることを確認したうえで、男女が性的暴力から自己を解放する姿に、一神教の神の絶対性を覆し、万物の存在をより平等に捉えようとする、汎宇宙論的概念の存在を読み解いた。
『黒人研究』
黒人研究学会
第85巻号