“The Daughters of the Late Colonel” における時間の ‘trouble’について
作者 K.Mansfield自身が最も気に入っていたと言われるこの作品では、「時間」が内容、手法、構成のいずれの点でも非常に画期的に興味深く扱われている。本論では特に「時間」の “trouble”というモチーフに注目し、これが作中様々に繰り返される中で、主人公の二人の姉妹の内面の “trouble”が暴き出される過程を追う。父の庇護の下にあった三十五年間の言わば空白の時間の “trouble”は、各々に極端なまでの幼児性、性の偏向という “trouble”を負わせているようだ。
広島経済大学研究論集
第8巻
第4号