“The Fly”考察-boss の「時への挑戦」-
“The Fly”(K.Mansfield作)を、従来のイメージ分析による読み方を避け、主人公 boss の「時への挑戦」というテーマを通して考察するのが本論の目的である。息子の死の「悲しみは決して癒されない」という考えと、自己自身の「若さを保つ」という二つの「時への挑戦」に主人公が一貫して固執していることに目を向ければ、彼の思考、行動、他者との関係の説明はより明らかとなるはずだ。作者はそのような傲慢な挑戦をし、そして敗北した主人公の姿を描きながら、時間と人間の関わりを探ろうとしている。
広島経済大学研究論集
第9巻
第2号