Martin Chuzzlewit 論-迷宮としてのMrs.Gamp-
C.Dickens 作 Martin Chuzzlewit は Mrs.Gamp の出て来る小説として知られるほど、この人物の個性・印象は強烈である。彼女の魅力の謎に迫るのが本論の目的だが、彼女に顕著に見られる職業人、或いは役者の顔は資本主義社会の新たな産物であると同時に、彼女にはまたその社会で失われた物への回帰の願望も具現されているようだ。彼女を時間的な広がりを具えた一組織と見なした時、初めて彼女の存在の大きさを知ることができるのではないのだろうか。
広島経済大学研究論集
第11巻
第4号