本書の目的は、新人営業要員の販売組織への適応過程を分析することにある。営業マネジメントには、相互作用問題、間接管理問題、条件統制問題の三つの基本問題があるが、新人営業要員の適応問題は、この三つの基本問題の同時解決を求められる困難な問題である。またその意味で、この問題は、三つの基本問題の同時解決能力が当該組織に備わっているかどうかをはかる試金石としての重要性を持っている。新人の適応にはいうまでもなく経験が大きな影響を及ぼす。しかしそれを偶然に任せるのではなく、新人の経験をコントロールするという発想、これこそが適応を左右する鍵である。本書では、このことを、新人営業要員、営業マネジャーなどへのインタビュー調査や関連文献の学説史的整理によってによって実証的かつ理論的に論じた。(広島経済大学共同研究助成金99-Cによる研究成果)