産業財企業の取引戦略は、IMP Groupの伝統的な研究アプローチでは、顧客のgeneral needs(製品開発を含む全面的な適応を要求するニーズ)とspecific needs(取引条件を中心とした局所的な適応を要求するニーズ)の2つの次元で構成される空間で表される。それぞれの次元は、応するか標準化するかを両極とした2×2のマトリックスで構成される戦略空間が想定されている。本研究では、日本の産業財企業の戦略が、この戦略空間上にどのように分布するかを分析した。日本企業はspecific needsの面では過剰適応する反面、general needsでは過少適応する可能性が高いことを示した。おそらくそれは、日本企業の営業部門の持つ自律性の高さに由来するものであろうことを提言した。営業部門の自律性が高いゆえに、裁量権の高いspecific needsへの適応に関しては過剰になり、生産部門等との調整を必要とするgeneral needs面での適応に関しては過少になると考えられる。(共同発表、竹村正明、王怡人、細井謙一)