我が国企業の、欧米企業と比した、利益率の低さについて、取引関係の在り方にその理由を求めた研究。我が国企業の利益率の低さについては、従業員を大切にすることや、複雑な流通の仕組みなど、日本的なビジネスの慣行に求められることが多い。しかし何故にそうした観光が認められるかについて、特に取引における関係の在り方について考察した。社会学の世界では、しばしば信頼と安心を区別するが、取引関係についても同様の区別が重要である。我が国企業は、人間関係を重視するとしばしばいわれるが、それは信頼型ではなく、安心型の関係である。信頼とは取引相手の能力や特性に対する信念であるが、安心は取引相手が裏切ることができる状況かどうかという問題であり、状況に対する信念である。日本企業では、人間関係を重視するという場合、この安心を重視するがために、裏切れない状況であることを明示する必要が生じ、多くのコストが必要となる。共同発表:細井謙一、王怡人、竹村正明)