企業の営業・販売活動は、マーケティング活動の中でも研究対象として取り上げられる機会の少ない研究領域であったが、ここ数年注目されるようになってきた。本報告では、この領域を研究する際の理論的基礎となることが期待される米国の人的販売研究・販売管理論の研究成果を紹介し、かかる研究領域の進むべき方向を提示した。かかる研究領域においては、いわゆる認知的アプローチが主流となり、その研究成果が期待されているが、販売員の行動を単に記述するだけでなく、特定の販売員行動がどのようなインパクトを持つのかという問題が解明されなければならない点や、認知的アプローチの導入に伴い、従来注目されてきた販売員のモチベーションの問題が逆になおざりにされるという点が、大きな問題点であることを指摘した。