営業担当者の役割をネットワーク論的に考えれば、構造的空隙を橋渡しするようなポジションを得ること、あるいはそのようなポジションを得られるような顧客と取引関係を取り結ぶことということになる。ただ、ネットワーク構造上はそのようなポジションを得ているはずでも、ネットワーク理論が想定するように、取引先企業との関係を有利に進めることができない事例も散見される。本研究では、構造的空隙というポジションが業績に結びついているのは、業界No.2の企業との間でそのような関係を取り結んだ場合であることが多いことを事例研究から検討した。しかし、営業マンは、往々にして業界No.1の企業こそが優良顧客だと思いがちであり、No.2企業より、No.1企業との取引関係を優先する。このことが自らを不利なポジションに追い込んでいく可能性があることを、事例研究を通じて検討した。Kenichi Hosoi, Yoshiyuki Nakagawa, Yoritoshi Hara, and Masaaki Takemura.