企業の法人向け営業の実態解明を試みた研究。リレーションシップ・マーケティング論の台頭に伴い、売り手-買い手間の取引関係の態様が問題にされる機会が多くなってきた。本研究では、これまでのリレーションシップ・マーケティング論で「関係(あるいは関係性)」という用語で画一的にとらえられてきた売り手-買い手間の取引関係が、「互酬型取引関係」と「波及型取引関係」の二つに大別されることを発見した。また、こうした取引関係のタイプの違いによって、関係管理者たる営業要員の果たすべき役割も異なっていた。互酬型取引関係においては「顧客選別」、波及型取引関係においては、「顧客接点管理」という、従来のリレーションシップ・マーケティング論では論じられてこなかった営業の役割が存在することを発見した。(日本商業学会公募プロジェクト研究助成金による助成研究の結果報告)(共同発表:細井謙一、南知惠子)