本研究では、生命保険業界における、販売員の既存顧客との関係強化と新規顧客の獲得という戦略の違いから生じる適切な販売員行動の違いを実証的に検討した。既存顧客または新規顧客にはじめてあった場合という状況設定で、販売員がどのような行動を行っているかということを、販売員の知識構造を手がかりに分析した。全般的傾向としては状況による販売員行動の差はあまり見られなかったが、販売員のタイプ別に分析するといくつかの点で違いが見られた。販売員行動と販売成果の関連が販売員のタイプに媒介される可能性を示唆する結果を得た。また、こうした分析の基礎となる販売員行動の記述方法についても、先行研究に比べて詳細に状況を設定し、実験条件の統制をよりよくおこなう新たな試みを行った。