親子間の消費に関する価値観共有研究について、山岸(1999)を手がかりに再考察を行った。既存の消費者の社会化研究は、主として親子間での相互作用を通じて子供が消費者の社会化を促進させていくことにより、最終的に親子間で消費に関する価値観が教育されていくと考えられている。しかし、現実には、子供は必ずしも一方的に受動的に親の価値観を受け継ぐものでもなく、むしろ主体的に様々な選択を行っているはずである。そこで山岸(1999)は、子供が葛藤に陥った状態を想定し、その子供が何をどのように考えて選択するのかに注目する。その選択の基準として、他者への配慮ということがあげられる。他者への配慮の一つとして、最も身近にいる親の価値観を参考にするというわけである。このように選択のプロセスそのものに踏み込んで、社会化研究を再検討することの意義と、今後の研究の進むべき方向を検討した。(共著:細井謙一・中川義之)