良好な取引関係を構築し維持することの重要さは、リレーションシップ・マーケティングの名のもと、多くのマーケティング研究者の共通認識となっている。セールス・マネジメントの分野においても、リレーションシップ・マーケティングの名のもと、同様のことが重視されている。営業担当者には、取引関係を構築すべき適切な見込み顧客を識別し、関係を構築・維持すべきことが求められる。しかし、営業担当者の見込み顧客の有望度の判断には、既存の取引ネットワークの影響でバイアスが生じる可能性がある。本稿では、このバイアスを、リーダー顧客志向ネットワークバイアスと既存顧客志向ネットワークバイアスという、二つのバイアスとして分類、整理し、各バイアスが、営業担当者のパフォーマンスに与える影響についての仮説と研究の進むべき方向を考察した。