販売管理論の基本的な性格を考察し、従来の研究成果を批判的に検討、研究の進むべき方向を考察した論文。販売管理論を通常の経営管理論、あるいは労務論に解消しえない、販売に固有の管理論として成立させた二つの問題が存在すると主張。この二つの基本問題を間接管理問題および相互作用問題と名付けた。販売管理論は、その成立以来累積的な進歩を遂げているように思われるが、実際には、これら二つの基本問題の混同を利用した問題のすり替えが繰り返されて来たにすぎないことを指摘した。こうした観点から、現在主流になっている認知的アプローチを検討すると、間接管理問題の偏重と相互作用問題の等閑視という傾向が指摘される。研究の進むべき方向として、相互作用問題により多くの研究努力を傾注すべきことを指摘し、そうした方向に進む場合に考えられる、いくつかの問題点と対策とを考察した。