本稿では第110回アメリカ議会に提出された為替レート監視改革法案(The Currency Exchange RateOversight Reform Act of 2007)の内容とその正当性について検討した。各IMF加盟国は為替レート政策において、協定第4条「為替制度に関する義務」とその遂行状況をIMFが調査するための指針「2007年の決定」に従わなければならないが、同時期に並行して推進された「為替レート監視改革法案」とIMFにおける国際ルールの改定作業は、中国人民元のみならず、東アジア各国通貨に地域的な通貨切り上げ圧力をもたらせる可能性を高めたといえる。通貨危機後東アジアでは「通貨暴落」に対する金融協力体制が整備されたが、「通貨上昇圧力」に対する対応に地域的合意が存在しないことが大きな課題である。