本稿では新金融フレームワーク下におけるタイの為替相場政策を時系列的に追跡し、管理変動相場の運営実態を考察した。検証の結果、タイは管理変動相場制度下において恒常的に為替介入を実施し、相場の形成に強く関与していること、ドルペッグ制度離脱後もドルが最も重要な参照通貨として選択されていること、2000年代の前半はドル・円連動に基づく管理が行われていたが、2006年後半からサブプライム混乱期において円との連動性は失われ、替わってドル・ユーロ連動が形成されたこと、2012年以降自由変動志向的な新たな為替相場政策が模索されている可能性があることなどが明らかになった。