所得税と家計の消費行動
本稿では、マクロ計量モデルに家計部門の所得分布を導入し、所得税の累進性と課税最低限を明示的に組込んだ。このモデルを用い、課税最低限の変更が形態別家計消費支出と労働供給に与える影響について分析を行った。そして、推計期間内に関する事後予測シミュレーションでは、課税最低限の引き下げよりも、引き上げの方が、形態別家計消費支出が高くなり、また、労働供給は実質賃金率低下によりやや減少するという結果を得た。
広島大学大学院
社会科学研究科経済学専攻