幕末期農業生産力と地主富農の経営動向-備後国深津郡市村土屋家を中心として-
近世から近代における日本農業が内包する農業技術的問題点や特質に視点を据えつつ,一定の耕地ブロック化やそれを前提とした田畑輪作のあり方などについて検討した。さらに,近世の農業技術において,賃労働の形式的包摂や農業経営の自給性にその特質を見いだした。あわせて地主富農の経営全般を分析しながら,農業・土地経営の動向を位置づけ,近世日本農業の一端を解明した。